「ゆりめぐチャンネル」について
こんにちは。
ブログ移転後の初めての記事になります。
今回は5月から発足した私の新しい音楽活動についてのお話をしたいと思います。
昨今は音楽家にとってとてつもなく試練の時代です。
世界的なパンデミックによって、音楽業界は生演奏での活動が制限され、音楽で生活していくことが非常に困難になっています。
かくいう私も、今年度に予定していた本番は、その殆どが延期や中止になり、人前で演奏できる機会もかなり失いました。
特にクラシックの音楽は、ホールの響きや直接同じ空間で生音を聴くことがその楽しみの一つでもありますので、簡単に ”無観客ライブにする" という方向にはならないのが実情です。こればかりはやはりお客様のこと、共演者のこと、ホールのことなどを考えると、致し方ありません。特に歌は飛沫を伴い、今回の感染症にとって最悪のシチュエーションですので、未だオペラや合唱などの舞台は稽古さえ再開しづらい状況です。
とはいえ、これまでさまざまな舞台に立つ事で自分のアイデンティティーを確立してきた私たち音楽家にとって、演奏する場が無くなることは、自分たちの存在意義さえ分からなくなってしまう大きな出来事でした。
長年音楽だけで生きてきたような人間にとって、すぐに別の生き方をするのはそう容易ではありません。この春先は、普段ならば春の陽気に胸躍らせる毎日ですが、本来とは真逆の日常を送り、心の中では「せっかくの時間を無駄にしてはダメだ」と何度も自分を奮い立たせながらも、とても悩ましい時間が過ぎていきました。
これからどうなるのだろう、もう歌声を誰にも聴いてもらえないのだろうか、そんなネガティブな気持ちさえ芽生えるなか、「今私のできることはなんだろう」ととにかく考えていました。
そして、考えて考えた結果、やはり「歌ばか」と言ってもいい程歌だけに生きてきたような人間には「歌う」以外の選択肢はありませんでした。
こうして「歌いたい」と今まで以上に強く思っていた時、同級生のメゾソプラノ松浦恵ちゃんから「リモートで重唱したいね」という女神のお告げのような一言を受けたのでした。
そうしてあれよあれよという間に、新たなプロジェクトが立ち上がったのです。
勢いのまま、今年の5月からさっそくYouTubeにてデュオの配信を始めたのですが、ありがたいことにすでに100名以上のチャンネル登録者様が私たちの演奏を聴いてくださっています。
チャンネル名はひねりが無いシンプルなもので、小玉友里花の「ゆり」と松浦恵の「めぐ」で、《ゆりめぐchannel(チャンネル)》と命名致しました。
ピアノは日頃より信頼している、ピアニストの高野泰輔さん(東京藝大大学院ピアノ科卒)にお願いしています。
今現在、既に7曲ほど収録して投稿していますので、ご興味のある方は、この記事の最後にリンクを貼っておきますので聴いてみてくださいね。
収録方法は、やはり離れた場所に住んでいることもあり対面は難しく、リモート録音という形で収録しています。お互いに持っている中で一番良い性能の録音機を使い、機械音痴なりに勉強をして、音声・動画編集をマスターしてここまでなんとか聴いていただける形で配信しています。
また、普段と違って、お互いの録音を聴いて合わせるのはとっても難しく、片耳イヤホンで音程を取ったりタイミングを合わせて歌うことは通常では体験し得ないので、自分たちなりに納得のいく演奏に辿り着くのがなかなか大変だったりします。
最近少しずつ慣れてきましたが、まだまだ不慣れなので、更新はサクサクとはいっていません。 気長に更新を待っていただければ幸いです。
しかし、こうして機械を通してですが声を重ね合わせ、普段はしないようなスタイルで音楽に挑戦する奇異な状況下にありながらも、「音楽を続けられている」という事にすごく感動している自分がいます。
おそらくこの活動に一番感動しているのは自分自身かも知れないくらいです。正直なところ、音楽を楽しみながら続けられているだけで、これまでは当たり前だったことなのに心の底から救われるような思いがしています。
それから、お恥ずかしながら、私はこれまで自分自身を認知してもらう為の努力などあまり考えてもこなかったもので、野心がないと言いますか、臆病というか、そういった性分だったせいで、まだまだチャンネルの存在を知ってもらえてはおりませんが、再生回数が伸びるたびに臆病者だった私が不思議とホッとしたり、感想のコメントや、遠く離れたファンの方からメッセージを頂くたびに自分の歌い手として存在を改めて自分自身で肯定する事が出来て、救われる思いがしているのです。
改めて、感謝を言葉にさせてください。本当にありがとうございます。
音楽に捧げた人生ですが、逆に音楽に支えてもらっているのだと、改めて強く思います。
いまこうして過ごしているうちにも、寝る間を惜しんで世界のために科学者の方々によるワクチン開発や治療薬開発、医療現場では今出来る最大限の治療を行うなど、様々な分野の方々が血の滲むような努力をされています。そのおかげで、この信じられないような不遇の時代も少し先の未来には消え去っているのかもしれません。
ですが、もしもこの世界が元どおりの日常を取り戻したとしても、音楽家にとって絶望にも近い世界を体感した事で見えてきた、音楽への向き合い方や、自分の音楽の可能性などの新しい感覚を、私は今後を大切にして、これからも音楽を奏でていきたいと思います。
元の日常に戻り、音楽活動が再開できましたら、デュオのコンサートも開催予定です。
なので私たちの未来の目標は「生のデュオコンサート」です!
その時には、たくさんのお客様の前で歌えるためにも、今YouTubeという形で一人でも多くの方に歌声を届け、楽しんでもらいたいです。
今後もクラシックに限らずいろいろな楽曲を楽しんでいただけるよう頑張っていくので、どうぞ温かな応援を宜しくお願い致します。
さいごに、過去の投稿動画を載せておきます。
(↓ゆりめぐチャンネルに直接飛ぶリンクはこちら)
「いのちの歌」
《いのちの歌》リモートで二重唱してみました。ソプラノ-小玉友里花、メゾソプラノ-松浦恵
「ゆりかごの唄」
《ゆりかごの唄》リモートで二重唱してみました。ソプラノ–小玉友里花、メゾソプラノ–松浦恵
「ひこうき雲」
《ひこうき雲》(ジブリ映画『風立ちぬ』より) リモートで二重唱してみました。ソプラノ–小玉友里花、メゾソプラノ–松浦恵
木下牧子作曲「犬が自分のしっぽを見て歌う歌」
〜 犬好きに捧ぐ〜《犬が自分のしっぽをみて歌う歌》 リモート二重唱 /ソプラノ-小玉友里花 メゾソプラノ-松浦恵 ピアノ-高野泰輔
木下牧子作曲「ねこぜんまい」
〜猫好きに捧ぐ〜《ねこぜんまい》木下牧子作曲|リモート二重唱 /ソプラノ-小玉友里花 メゾソプラノ-松浦恵 ピアノ-高野泰輔
木下牧子作曲「ほんとにきれい」
《ほんとにきれい》 リモートで二重唱してみました。木下牧子作曲/ソプラノ-小玉友里花 メゾソプラノ-松浦恵 ピアノ-高野泰輔
YouTube概要欄には毎回メッセージも綴っていますので、宜しければそちらも併せてお楽しみください。
裏話ですが、いつも二人でゆるーいオンライン会議なんか開催して楽しく選曲してます。
会議とは名ばかりで、毎回すぐ脱線してただのオンラインのお茶会になっていますが、それはここだけのお話です。
まだまだ暑い日が続きますが、熱中症にはくれぐれもお気をつけください。
それでは、また。
小玉友里花
ブログを移転いたしました。
こんにちは。ソプラノ歌手の小玉友里花です。
この度ブログを移転致しました。
心機一転してこちらでまた演奏会のことは日々の音楽に関するあれこれを記事にしていきたいと思います。
また、音楽や声楽についての有益な発信をしていきたいと考えています。特に私の大好きな歌曲についての魅力を語っていく予定です♪
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
2020年8月 小玉友里花