郷愁の赤とんぼ
こんにちは。すっかり秋めいてきましたね。
秋風が肌を撫でる瞬間の、この言葉に形容しがたい気持ちといったら・・・。
身震いするほど大好きな季節の到来です。
しばらく更新がご無沙汰になっていましたが、何をしていたのかと言いますと、実は先日、姉の結婚式がありました。
コロナの影響で延期になっていた式がようやく開催できたので、家族の感動も一入で、普段から涙脆い母は輪をかけて涙をこぼし、普段からひょうきんな父もいつも以上にニコニコと笑顔をこぼしていました。
結婚式を挙げる報告をもらった時、まだコロナが流行する前だったので、姉から「歌の生演奏をして欲しい」と言われていましたが、残念ながらまだ油断は出来ない状況なので、事前に収録した演奏を動画に編集して、それを放映して頂きました。
動画となると、私の歌っている立ち姿だけでは間がもたないので、両家の昔のアルバムなどから収集した写真を使って動画編集をしたのですが、本当に懐かしい写真がいくつも出てきて、幼少期の記憶にふとタイムスリップしては作業の手が幾度も止まりました。
姉が嫁に行く。
このことに、ふと山田耕筰の『赤とんぼ』の曲が頭に浮かびました。
赤とんぼ (三木露風作詞)
夕焼、小焼の、
赤とんぼ、
負われて見たのは、
いつの日か。
山の畑の、
桑の実を、
小籠(こかご)に、つんだは、
まぼろしか。
十五で、姐(ねえ)やは、
嫁にゆき、
お里の、たよりも、
たえはてた。
夕やけ、小やけの、
赤とんぼ。
とまっているよ、
竿の先。
日本の多くの方は、この名歌に郷愁の想いを抱くのではないでしょうか。
この曲は、7歳で母親を亡くした三木露風(1889-1964)*2が遠い故郷と亡き母を忍んで作った詩に、山田耕筰が音楽をつけました。
心掴まれるような抑揚が印象的な旋律で、誰もが口ずさむことのできる名曲です。
「赤とんぼ」という言葉は、当時は「あ」にアクセントがあったので、それに準じて音楽も「あ」の音程が高く、「か」以降の音に低い音程が与えられてこのメロディーになっています。*3
もしも今のアクセントで作曲されていたら、全く違った曲になっていたでしょうね。どんな曲になっていただろうと考え巡らすもまた面白いかもしれません。
小さい時に母や姉に背負われていた時
近所の公園で花や石ころを集めて駆け回った時
赤く染まる陽を浴びて家族で手をつないで帰った時
・・・
口ずさめば、自分の中の様々な思い出が脳裏に駆け巡ります。
姉の年齢は十五ではありませんが、姉やが嫁にゆき、懐かしい日々に想いを馳せた初秋のある日でありました。
最後に、私が尊敬する素晴らしい作曲家兼ピアニストの山中惇史くんが編曲した『赤とんぼ』を是非ご紹介したいと思います。
私は、惇史くんのピアノと大江馨さんのヴァイオリンによるこの素晴らしい演奏を初めて聞いた時、自然と頬に涙が伝い、美しい音楽に触れて感謝の気持ちで心が満たされました。それ以来、この演奏を折に触れては聴いています。
きっと皆様の郷愁の心にも、そっと触れてくれてくれることと思います。
『赤とんぼ』 Violin-大江馨 Piano-山中惇史
『赤とんぼ』大江馨 山中惇史 「Red dragonflies (Japanese traditional song) 」Kaoru Oe Atsushi Yamanaka
。お二人の演奏が聴けるCDもあるようなので、リンクも掲載しておきます
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲
読んでくださりありがとうございました。
それでは、また。
小玉友里花